先日、巨大な脾臓腫瘍の摘出を行ないました。
総重量700g以上で、体重の約10%にも相当する程、すさまじい大きさになっていました。
写真は摘出中のもので、腹腔内の大網という組織と癒着し、腫瘍の一部が破裂して腹腔内出血も起こしていました。手術が遅れていたら大惨事になっていたかもしれません[E:coldsweats02]
この子は術後数日で無事元気になり、病理検査の結果をみながら今後の治療方針を立てていく予定です。
このように自壊や癒着がみられる脾臓の腫瘍でも、良性の病変と非常に悪性度の高い病変とがあるため、病理検査結果が出るまでは我々獣医師も飼い主さんもドキドキです[E:sweat02]
ちなみに、この術中の写真、術者である私の横顔すごい真剣でしょ[E:scissors]写真を撮られていることにも気付かず、一心不乱に早くうまく摘出する事に集中している瞬間です。
この手術で大活躍[E:good]したのが、以前このブログでも紹介した血管シールシステムのSURG-RX(小林メディカル)です。この装置は、血管を凝固してそのまま切開するもので、去勢・避妊手術をはじめ、脾臓摘出や腫瘍の摘出で活躍します。以前であれば、血管を分離して2本以上の結紮糸をかけて切断しなければいけなかった手間を一握りで済ませる事ができます。なおかつ、体の中に糸のような異物を残さないので(火傷のような障害はありますが、すぐに治ります)、縫合糸肉芽腫のような病変を形成する事がありません。
新しくていい機械をうまく使いこなしながら、より高度な獣医療を目指してこれからも頑張っていきたいと思います!!!